成長
当塾を途中退会せず区切りのいい所で卒業した生徒に対しては、社会人になるまで何らかの形で気をかけなければならないと思っています。
5年ほど前に高校に合格した生徒もその1人です。
この生徒は、看護師になりたいということで、親族の勧めもあり、5年制の看護科のある、全寮制の高校に進学しました。
中3から指導しましたが、それはもうひどい出来で(笑)注意して何度となく泣かせました。
合格の報告にも親子揃って来られましたが、当塾に、そして私に、いい印象は持っていないだろうと思いました。
合格者には合格祝いをするのですが、受ければ受かるようなレベルだったことと、学力レベルからすると、途中で投げ出す可能性もあると思っていたので「看護師試験に合格したら報告するように。ちゃんとお祝いをするから」と伝えました。
その後も、この生徒の誕生日や新年にはメールを送り、様子をうかがっていました。メールを送ると常に返事があったのは意外でした。
そして5年が経ち、正月のメールには、実習を終え、国家試験に向けての勉強を頑張っているとありました。
看護師試験がいつかも知らず、調べてみると、既に合格発表も終わっていることを知りました。
これまでのメールも私が送って返事する形だったので、「向こうから送ってくることはないか。やっぱり社交辞令的に、メールが来たから仕方なく返信してたんやろうなあ」と思いながらも、心配なのでメールしました。
いつものように私からのメールには返事が来ました。そこには、准看護師の試験には合格したものの、看護師試験は不合格だったとのこと、非常に悔しい思いをしたが、働きながら来年の合格を目指すとのこと、そして合格の知らせができず申し訳ない、来年は良い知らせができるように頑張りますということが書いてありました。
メールを送ってこなかったのは、合格できなかったからでした。
残念に思ったと同時に、この5年で成長したなあと思いました。
親元を離れて5年間勉強するのは並大抵のことではないでそう。それも高校からです。
私が指導したのはたった1年ですし、その間に教えたことは、勉強よりも勉強以外のことの方が多かったように思います。
当時はわかってもらえなかったかもしれませんが、この5年間でこちらの言っていたこともわかってもらえたかもしれません。だから毎回返事を送ってきてくれ、今回も強い決意を示してくれたのでしょう。
私自身、出来のいい子より、出来の悪い子の方がかわいいし、こうやって成長してくれるのが非常にうれしいです。
恐らく最近の保護者は、こういう成長を求めず、すぐ目の前の成果を重視するのでしょうが。
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